交通事故の3倍以上?冬の入浴事故から家族を守る、浴室・脱衣所のリフォーム術

10月も半ばになると、朝晩の空気がぐっとひんやりしてきます。温かいお風呂が恋しくなる季節ですが、実は冬のお風呂には注意したいリスクが潜んでいます。

それが、暖かい部屋と寒い脱衣所・浴室との温度差です。急な温度変化は体に負担をかけることがあり、一般に「ヒートショック」と呼ばれています。今回は、公的機関が公表しているデータをもとに冬の入浴事故の実態を確認し、本格的に寒くなる前に考えておきたいリフォームをご紹介します。

暖かなリビングと冷える脱衣所-1.png

冬の入浴事故は、交通事故より身近なリスク

消費者庁が2025年12月に公表した注意喚起によると、厚生労働省の人口動態統計(令和6年)で、浴槽での溺死・溺水による死亡者数は7,776人。そのうち65歳以上の方が7,363人と、約95%を占めています。

さらに同資料では、この数は65歳以上の交通事故死者数(2,103人)の3倍以上にあたると紹介されています。東京消防庁のデータでも、高齢者の溺れる事故は冬場に増える傾向が示されています。

「家の中の、毎日のお風呂」だからこそ、対策をしておく価値があるといえます。

国の調査でわかってきた「室温と健康」の関係

国土交通省は、住宅の断熱と住む人の健康との関係について全国規模の調査を行っています。2019年1月に公表された中間報告では、次のような傾向が報告されています。

  • 部屋と部屋の温度差が大きく、床付近の室温が低い住宅では、住む人の血圧が有意に高い
  • 断熱改修の後、起床時の最高血圧が有意に低下した

また、国土交通省のサイトでは、居間や脱衣所の室温が18℃未満の住宅では、入浴事故のリスクが高いとされる「熱め入浴」が約1.7倍に増えるという調査結果も紹介されています。

つまり、家の中の温度差を小さくすることが、冬の入浴を安全にする第一歩なのです。

安心で快適な浴室と脱衣所-2.png

ヒートショック対策におすすめのリフォーム

1.浴室・脱衣所の窓を断熱する

家の中で熱が最も出入りしやすいのが窓です。浴室や脱衣所の窓に内窓を取り付けたり、断熱性の高い窓に交換したりすることで、冷え込みをやわらげる効果が期待できます。内窓の設置は比較的短い工期で済むことが多いのも魅力です。

2.浴室・脱衣所に暖房を設ける

浴室暖房乾燥機や脱衣所用の暖房機を設置すれば、入浴前に空間を暖めておくことができます。「脱衣所は寒いもの」という思い込みをなくすだけでも、冬のお風呂時間がぐっと快適になります。

3.浴室まわりをまるごと見直す

在来工法のタイル張りの浴室は、床や壁が冷たく感じやすいことがあります。ユニットバスへの交換に合わせて、保温性の高い浴槽(高断熱浴槽)を選ぶ方法もあります。

4.手すりの設置や段差の解消

浴室の出入り口や浴槽の出入りは、転倒しやすい場所です。手すりの取り付けや段差の解消を一緒に行うと、より安心できる浴室になります。

冬の脱衣所で室温を確認する母娘-3.png

まずは我が家の「温度差」を測ってみよう

リフォームを考える前に、ぜひ試していただきたいのが室温の「見える化」です。消費者庁も、温度計を使って脱衣所や浴室との温度差を把握することを呼びかけています。

寒い日の夜、入浴する時間帯に、リビング・脱衣所・浴室の3か所の温度を測ってみてください。先ほどご紹介した国の調査で目安の一つになっていた「18℃」を下回っていないか、リビングとの差がどれくらいあるかを確認すると、どこから手を付けるべきかが見えてきます。測った結果をリフォーム会社に伝えれば、相談もスムーズに進みます。

補助金を活用できる場合もあります

国の「住宅省エネ2026キャンペーン」では、リフォームにも補助金が用意されています。

先進的窓リノベ2026事業は、内窓の設置や外窓の交換などが対象で、補助上限は1戸あたり100万円です(補助額が5万円以上であることなどの要件があります)。

みらいエコ住宅2026事業のリフォームでは、高断熱浴槽やバリアフリー改修なども補助対象工事に含まれます。ただし補助を受けるには、リビングや寝室などの居室1室で、決められた組み合わせの断熱工事を行うことが前提になります。浴室だけの工事では対象にならない点にご注意ください。

どちらも工事着手は遅くとも2026年12月31日まで(予算上限に達した場合はその時点まで)です。制度の詳細は、10月4日のコラムや各事業の公式サイトをご覧ください。

リフォームの前に、今日からできる入浴の工夫

消費者庁は、入浴時の注意点として次のような点を呼びかけています。

  • 入浴前に脱衣所や浴室を暖めておく
  • 湯温は41℃以下、湯につかる時間は10分までを目安にする
  • 食後すぐや飲酒後の入浴は避ける
  • 急に立ち上がらない
  • 入浴前に同居するご家族に一声かける

リフォームと合わせて、こうした習慣も取り入れてみてください。

まとめ:寒くなる前の「今」が考えどき

冬の入浴事故は、住まいの温度差を小さくすることで備えられるリスクです。工事が冬本番に間に合うよう、早めに計画を始めるのがおすすめです。

NKT HOMEでは、浴室・脱衣所の断熱や設備交換など、冬を快適に過ごすためのリフォームのご相談を承っています。「うちの場合は何ができる?」という段階からでも、お気軽にお問い合わせください。

※本コラムの内容は2026年10月時点の公的機関の公表資料にもとづいています。体調に不安のある方は、かかりつけの医師にもご相談ください。
参考:消費者庁「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」 / 消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」 / 国土交通省「断熱改修等による居住者の健康への影響調査 中間報告」 / 国土交通省「健康&快適生活」 / 住宅省エネ2026キャンペーン

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