家族会議、最初の議題は「何帖のLDK?」ではありません

敬老の日から秋分の日まで続く9月の連休。朝が少しゆっくりで、食卓に誰かが長く座っている時間も増えます。そんな時に「家の話、してみる?」と切り出すと、たいてい最初に飛び出すのは「LDKは何帖?」ではありません。

「玄関で靴を脱ぐとき、ベンチがほしい」「休日の朝に、パンを焼くにおいがするキッチンがいい」「雨の日でも、子どもが工作できる場所があるといいな」。家づくりの会話は、最初から正解を決める必要はありません。家族それぞれの「こんな場面が好き」を集めるところから始めると、思いがけず会話が弾みます。

そこでおすすめしたいのが、紙とペンだけでできる「住みたい家ドラフト会議」です。


住みたい家ドラフト会議とは

家族が順番に「新しい家で絶対にほしい場面」や「好きな場所」を一つずつ選び、理由を話す遊びです。間取りや予算を決める会議ではなく、暮らしの優先順位を楽しく発見するためのミニゲームです。


ルールは簡単。最初に選ぶのは"部屋"ではなく"場面"

用意するものは、紙、ペン、飲み物、できればおやつです。紙を数枚に切って、家族一人につき三枚ずつ配ります。そこに「新しい家でしてみたいこと」を一枚に一つ書きます。字が難しいお子さまは、絵でも構いません。

ここでのコツは、最初から「パントリー」「ファミリークローゼット」のような部屋や設備の名前を書かないことです。「買い物袋を置いたら、そのまま夕飯を作れる」「帰ってきたら、すぐ手を洗ってランドセルを置ける」「祖父母が来たとき、みんなでお茶を飲める」のように、まずは場面で書いてみましょう。

集まった紙をテーブルに並べたら、順番に一枚を選びます。選んだ人は、なぜその場面を選んだのかを30秒だけ話します。誰かの答えに「それ、いいね」「うちもあるある」と重ねていくうちに、家族の暮らしが少しずつ立ち上がってきます。正解を当てるゲームではなく、家族の"好き"を見つけるゲームだと思ってください。

ダイニングテーブルで、家族が家の絵や暮らしの場面を書いたカードを並べて話しているイメージ。


連休の食卓が、家づくりの楽しいスタート地点になります。

ドラフト指名したい、5つの「住みたい場面」

いざ書こうとすると手が止まりそうなときは、次の五つから選んでみてください。どれが一番大切かではなく、「今の自分が選びたいのはどれ?」と聞くのがポイントです。

1.ただいまから始まる、玄関の場面

「傘を干す場所がある」「ベビーカーをそのまま置ける」「帰宅後の上着がリビングに流れ込まない」。玄関は短い時間しかいない場所ですが、毎日必ず通る場所です。お子さまなら「友だちを呼んだとき、すぐ靴を並べたい」という答えが出るかもしれません。靴箱の大きさではなく、帰ってきた瞬間にどんな動きをしたいかを話してみましょう。

2.休日の朝が変わる、キッチンの場面

「二人でコーヒーをいれたい」「子どもが宿題をしている横でご飯を作りたい」「大きな鍋を出して、みんなで餃子を包みたい」。キッチンは料理をする人だけの場所ではありません。誰がどこに立ち、何をしながら話すのかを想像すると、カウンターの向きやダイニングとの距離など、考えたいことが自然に見えてきます。

明るいキッチンとダイニングで、親子が休日の朝にパンとコーヒーを用意しているイメージ。


「誰と、どこで、何をする?」が、間取りのヒントになります。

3.天気のいい日に使いたい、窓辺の場面

「洗濯物を畳みながら空を見たい」「植物を育てたい」「猫が日なたぼっこする場所がほしい」。窓は大きければよい、というものではありません。光の入り方、外からの視線、家具を置く位置、暑さへの配慮まで、暮らし方によって考え方が変わります。だからこそ、「どんな時間を窓辺で過ごしたいか」を先に出しておくと、打ち合わせで伝えやすくなります。

4.一人になりたい時の、小さな場面

家族で住む家にも、一人で落ち着く時間は必要です。「寝る前に本を読む場所」「オンライン会議で声を出せる場所」「趣味の道具を広げたままにできる場所」。広い個室でなくても、カウンター、畳の一角、可動式の家具でつくれる場合があります。一人の時間を大切にしたい、という希望も家族への遠慮ではなく大切な要望です。

5.誰かを呼びたくなる、集まる場面

敬老の日の連休なら、祖父母や親戚が訪れる場面を想像するのも楽しいでしょう。「みんなでお昼を食べられる」「子どもが遊んでいる姿を見ながら話せる」「泊まってもらえる場所がある」。いつもは二人や三人で暮らしていても、年に数回の"にぎやかな日"をどう過ごしたいかは、家の表情を決めるヒントになります。

光が入る窓辺の小さな読書スペースで、家族がそれぞれくつろいでいるイメージ。


一人の時間も、にぎやかな時間も、住みたい場面の大切な一枚です。

会議が少し盛り上がる、魔法のひとこと

ドラフト会議で「そんなの無理」「予算が」と話を止める必要はありません。もちろん家づくりでは、敷地、法規、予算、性能、将来の暮らしを一緒に考えます。ただ、この会議の役目は、条件を整理する前に希望を拾うことです。

そのために使いたい言葉が三つあります。「それがあると、何がうれしい?」「それは毎日ほしい? 休日だけでいい?」「誰と使いたい?」です。たとえば「広い庭がほしい」という希望が、「外で朝ごはんを食べたい」に変わると、必要なのは大きな庭だけではなく、室内と外をつなぐ場所や、テーブルを置ける日陰かもしれないと分かります。

希望を場面に言い換えると、優先順位を話しやすくなります。家族の答えが違っても大丈夫です。むしろ違いがあるから、家づくりは面白くなります。「みんなが同じ答え」より、「それぞれの答えを聞けた」ことを、この会議の成功にしてみましょう。

最後に残すのは、間取り図ではなく「名場面ベスト3」

会議が終わったら、選ばれた紙の中から、家族で大切にしたい三つを「名場面ベスト3」として残します。冷蔵庫に貼っても、スマートフォンで撮っても構いません。土地探しや住宅会社との相談が始まった時、その三つが話の出発点になります。

名古屋市南区で地域密着の家づくりを続けるNKT HOME(エヌケイティホーム)では、何帖の部屋がほしいかだけでなく、「休日の朝をどう過ごしたいか」「誰がどこでくつろぐのか」といった暮らしの場面からも、住まいづくりをご一緒に考えます。連休の一日、難しい資料を開く代わりに、おやつを囲んで"住みたい場面"を指名してみませんか。きっと次の家づくりの会話が、少しだけ楽しくなるはずです。

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参考情報・出典


  1. 内閣府「国民の祝日について」

ご注意:本稿は、家づくりを考える家族が会話を楽しむための一般的なアイデアです。敷地条件、法規、予算、性能、実現可否を判断するものではありません。実際の計画は住宅会社や専門家へご相談ください。

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