2030年に向けて変わる「家の性能」の当たり前 省エネ基準・ZEH・省エネラベルの最新事情

「家の性能」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。耐震性はもちろんですが、ここ数年で大きく変わりつつあるのが「省エネ性能」です。

国は2050年のカーボンニュートラル実現を目指していて、住宅に求められる性能の基準も段階的に引き上げられています。いま家を建てる方にとって、この流れを知っておくことは、10年後、20年後も満足できる家づくりにつながります。

今回は、国の公表資料をもとに、これからの家に求められる省エネ性能の「最新トレンド」をわかりやすく整理します。

2025年4月から、省エネ基準は「すべての新築」の最低ライン

2025年4月以降に着工する住宅には、省エネ基準への適合が義務付けられています。それまで小規模な住宅では説明にとどまっていた省エネ性能が、いまでは「満たしていなければ建てられない」最低ラインになりました。

次の目標は「ZEH水準」。遅くとも2030年までに

国土交通省は、建物の省エネ基準を遅くとも2030年までに大きく引き上げ、ZEH水準の省エネ性能にする予定であることを示しています。

ZEH水準とは、ざっくりいえば「省エネ基準より、断熱性能も省エネ性能もワンランク上の家」のことです。たとえば国の補助事業(みらいエコ住宅2026事業)では、ZEH水準住宅の要件を次のように定めています。

  • 断熱等性能等級:等級5以上
  • 一次エネルギー消費量の削減率:20%以上(再生可能エネルギーを除く)

つまり、今の最低基準ギリギリで建てた家は、数年後には「新しい基準に届かない家」になる可能性がある、ということです。

「断熱等性能等級」を知っておこう

省エネの話でよく出てくるのが「断熱等性能等級」です。これは住宅の断熱性能の高さを示すモノサシで、数字が大きいほど断熱性能が高いことを表します。現在は等級7まで設けられています。

現在の省エネ基準は、おおむね断熱等性能等級4に相当します。ZEH水準は等級5以上なので、最低ラインから1段上がることになります。住宅会社と話すときは「この家は等級いくつですか?」と聞いてみると、性能を比べやすくなります。

冬も暖かな家族の家-1.png

ZEHそのものも「次のステージ」へ

さらに、ZEHの定義そのものを見直す動きも進んでいます。経済産業省の委員会が2025年5月にまとめた資料では、新しい定義「GX ZEH」の方向性として、次のような内容が示されています。

  • 断熱等性能等級:等級6以上
  • 一次エネルギー消費量の削減率:35%以上(再生可能エネルギーを除く)
  • 2027年4月からの適用開始を想定

この水準は、国の補助金で最も手厚い「GX志向型住宅」の要件(断熱等性能等級6以上、一次エネルギー消費量の削減率35%以上など)とも重なります。国の補助金も、これからの家の目標を先取りしているといえそうです。

住宅ローン減税も「性能重視」がより鮮明に

省エネ性能は、税金の面でも重視されるようになっています。

国土交通省によると、住宅ローン減税は令和8年度の税制改正で、入居日が2026年1月1日から2030年12月31日までの方に延長されました。この制度では、住宅の省エネ性能が高いほど、控除の対象となる借入限度額が大きくなる仕組みになっています。

一方で、2024年以降に建築確認を受けた新築で、省エネ基準に適合しない住宅は原則として対象外です。さらに、令和10年(2028年)以降に建築確認を受ける「省エネ基準適合住宅」も、適用対象外となることが示されています。

国の最低基準を満たすだけでは、減税の面でも不利になっていく流れです。

家を比べるときの新しいモノサシ「省エネ性能ラベル」

2024年4月からは、新築建物の販売・賃貸の広告などで、省エネ性能ラベルを表示することが求められるようになりました(従わない場合は勧告等の対象になり得ます)。

ラベルには、次のような情報が表示されます。

  • エネルギー消費性能(★マークで表示)
  • 断熱性能
  • 目安光熱費(住戸の場合)
  • ZEH水準の達成状況

これからは、購入や賃貸の際に「この家の省エネ性能はどれくらい?」と比べるのが当たり前になっていきそうです。

夫婦で比べる住まいの性能-4.png

これから建てるなら、どこを目指す?

ここまでの流れをまとめると、次のようになります。

  • 2025年4月 省エネ基準への適合が義務化
  • 2027年4月 新しいZEH定義「GX ZEH」の適用開始を想定
  • 2028年 省エネ基準適合住宅が、住宅ローン減税の対象外に(建築確認が令和10年以降の場合)
  • 遅くとも2030年 省エネ基準をZEH水準に引き上げ予定

これから家を建てるなら、少なくともZEH水準を1つの目安にし、予算や暮らし方に合わせて、さらに上の断熱等性能等級6以上も検討してみる価値があります。省エネ性能の高い家は、毎月の光熱費をおさえやすいだけでなく、冬暖かく夏涼しい、快適な暮らしにもつながります。

夫婦と設計士の家づくり相談-2.png

まとめ:「今の基準」ではなく「これからの基準」で考えよう

家は、何十年も住み続ける場所です。建てた時点の最低基準ではなく、これから当たり前になる性能を見すえて計画することが、後悔しない家づくりのポイントです。

NKT HOMEでは、断熱性能や省エネ性能を含めた家づくりのご相談を承っています。「どのくらいの性能を目指せばいい?」といった疑問も、お気軽にご相談ください。

※本コラムの内容は2026年10月時点の公的機関の公表資料にもとづいています。今後の制度の詳細は変更される場合がありますので、最新情報は各省庁のサイトでご確認ください。
参考:国土交通省「省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。」 / みらいエコ住宅2026事業「新築住宅の省エネ性能」 / 資源エネルギー庁「ZEH・ZEH-Mの普及促進に向けた今後の検討の方向性について」 / 国土交通省「住宅ローン減税」 / 国土交通省「省エネ性能表示制度」

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